鳥居(仮)

鳥居は神聖な場所である神域への「門」です。鳥居の語源は「通り入る」がなまったものとか、日本最古の歴史書「古事記」によるものなど、さまざまな説があります。(神社のいろは14頁)

鳥居各部の名称と形

 

古事記においては、アマテラスという偉い神様が洞窟にお隠れになる「天の岩戸がくれ」という神話があります。神話では、朝になればアマテラスが洞窟から出てくるのではないかと考え、木にニワトリをとまらせ、鳴かせたという記述があります。

「とまり木」だけではなく、より高いところから鳴かせた方が良いだろうということで、「柱」で「とまり木」を高くしたものが「鳥居」の原型であると考えられます。

よって、鳥居で古来からある部分は鳥がとまる場所である「笠木」と「柱」です。

奈良時代の文書では、「笠木」「柱」「貫」を備えていたとのことですので、800年くらいまでに、「貫」が構造体として追加されたことがわかります。

文永3年(1266年頃)の伊勢神宮式年遷宮に関する記録に「島木」の記載が初めて現れるので、1200年くらいまでに、「島木」が構造体として追加されたことがわかります。

だいたいの感覚ですが、紀元前に稲作が日本に伝来した時期から、定住、特定の場所で神に祈りを捧げるようになったことで、「笠木」と「柱」をもった、初期鳥居が完成。

500年くらいに仏教が大陸から輸入されるのに合わせて、建築技術も輸入され、「貫」を備えることで構造的に強化された中期鳥居が完成。

平安時代に貴族文化が栄えたことで、意匠的な「島木」が備えられた後期鳥居が完成したものと考えられます。

※ 前期、中期、後期の区別は本ホームページによる便宜的な区別

 

鳥居の種類

鳥居の種類は大きく分けると、神明系鳥居と明神系鳥居の2種類に大別されます。

神明(しんめい)系鳥居

笠木、島木がともに直線的のものを神明系鳥居といいます

 

明神(みょうじん)系鳥居

笠木、島木の少なくとも片方が曲線的であるものを明神系鳥居といいます。

 

神明(しんめい)鳥居の種類

神明(神明)鳥居

各部材(笠木、貫、柱)は、丸太が使われます。

 

使用される材質によって、細分化されます。

 

靖国(やすくに)鳥居

神明鳥居では丸太だった貫が加工された四角形の角材になります。

 

鹿島(かしま)鳥居

四角形の貫が柱を突き抜けます。

 

宗忠(むねただ)鳥居

鹿島鳥居に額束がついたものです。

 

伊勢(いせ)鳥居

笠木が五角形になります。

 

春日(かすが)鳥居

鹿島鳥居に島木がついたものです。

 

八幡(はちまん)鳥居(前期)

春日鳥居とほぼ一緒ですが、笠木と島木の端部が地面に対して斜めに切られます。(春日鳥居の笠木と島木の端部は地面に垂直に切られる。)

 

外宮宗(げぐうそう)鳥居

島木があり、五角形の笠木をもちます。

 

(参考)神明鳥居の早見表

  笠木の形 島木の形 貫の形 貫が柱を突き抜けているか 額束があるか
神明(しんめい)鳥居 円形 なし 円形 突き抜けていない なし
靖国(やすくに)鳥居 円形 なし 四角形 突き抜けていない なし
鹿島(かしま)鳥居 円形 なし 四角形 突き抜けている なし
宗忠(むねただ)鳥居 円形 なし 四角形 突き抜けている あり
伊勢(いせ)鳥居 五角形 なし 四角形 突き抜けていない なし
春日(かすが)鳥居 五角形 四角形 四角形 突き抜けている あり
八幡(はちまん)鳥居 五角形 四角形 四角形 突き抜けている あり
外宮宗(げぐうそう)鳥居 五角形 四角形 四角形 突き抜けていない なし

 

明神(みょうじん)鳥居の種類

明神(みょうじん)鳥居、八幡(はちまん)鳥居(後期)

笠木と島木が曲線的で端部は地面に対して斜めに切られる。

 

台輪(だいわ)鳥居

柱と島木の間に台輪と呼ばれる構造物がある。

 

中山鳥居

貫が柱を突き抜けない。

 

住吉鳥居

柱が四角形になっている。

 

山王鳥居

笠木の上に山を模した合掌状の冠がつく独特の装飾が施されている