【都市伝説】「かごめかごめ」って何?

「かごめかごめ」というわらべ歌を耳にしたことがない人はほとんどいないでしょう。しゃがんだ子どもの背後を取り囲むように輪をつくり、「かごめかごめ、籠の中の鳥は…」と歌う遊び。その歌詞にはどこか不気味で、意味深な響きがあります。古くから親しまれてきたこの歌と遊びは、単なる子ども向けのゲームなのでしょうか。それとも、もっと深い意味があるのでしょうか。

1 かごめかごめの基本構造とその特徴

 かごめかごめは、「目隠し鬼」の一種です。鬼役の子どもが中央にしゃがみ、目隠しをして動かずにいます。その周囲を他の子どもたちが輪になって囲み、手をつなぎながら歌を唱えて回ります。歌の最後で鬼は「後ろの正面だあれ?」と問いかけ、背後の子の名前を当てます。

 

2 歌詞に込められた謎の言葉たち

 歌詞は地域や時代によって微妙に異なるものの、一般的には次のように歌われます。

  かごめ かごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀が滑った 後ろの正面だあれ?

 このような、一見して、意味を読み取れない歌詞から、かごめかごめには、都市伝説的な解釈も数多くあります。

 たとえば「死産や水子供養を歌っている」「籠目はユダヤの六芒星」「逆再生すると怨霊の声が…」など。

 しかしこれらの説には、民俗学的・史料的な根拠は乏しく、想像や都市伝説に過ぎないものがほとんどです。

 では、この意味を読み取れない歌詞が表現しているものは何なのでしょうか。

 

3 歌詞は反対言葉になっている?

 「かごめかごめ」の部分は「しゃがめ、しゃがめ」という命令が転じたものであ、鬼役がしゃがんで目隠しをする遊びの構造に合わせた言葉だとする実践的な解釈ができます。そのつぎの歌詞からは、反対言葉を組み合わせた歌詞になっています。

「籠の中の鳥は」(=外に出れない鳥)⇔「いついつ出やる」(=いつ出るのか)

「夜明けの」(=朝)⇔「晩」(=夜)

「鶴と亀が」(=縁起が良い)⇔「滑った」(=縁起が悪い)

「後ろ」(=自分の後方)=「正面」(=自分の前方)

 なぜ、反対の言葉が並べられているのでしょうか。

 

4 反対癖(ネガティビズム)

 都市伝説がたくさんあり、忘れがちですが、「かごめかごめ」は作者不詳の童歌(わらべうた)であるということを忘れてはいけません。作者不詳ということは、どこかの子どもが作曲した可能性だってあるのです。

 子どものとき、替歌で逆の歌詞で歌った経験は無いでしょうか。たとえば、トトロの「あーるこ~、あーるこ~♪」を「あるかな~い、あるかな~い♪」に変えたり、、、これは、幼児期にみられる「反対癖」(ネガティビズム)というものです。

 1歳半から3歳くらいまでに見られる現象で、ちょうどその時期は自我が育って来る時期です。つまり、自分の意見を言ってみたい時期です。しかし、意見を言えるほど思考能力はないため、反対のことを言うことで、自分の意見を言おうとするのです。イヤイヤ期ともいいますね。

 「かごめかごめ」はおそらく、もともとは何か意味のある歌詞があったのでしょう。しかし、子どもが歌ううちに、反対の意味の言葉が付けられていき、全く意味が通らない童歌(わらべうた)として、残っているのではないでしょうか。そのような、童歌(わらべうた)から意味を見いだすことは当然できません。

5 「かごめかごめ」は何か 

 先に述べたように「かごめかごめ」の歌詞は反対の意味の言葉を並べた童歌(わらべうた)で特段の意味を見いだすことはできないと述べましたが、民俗学者の柳田國男は、わらべうたや遊戯に、古代の信仰や社会の残滓が埋め込まれていると繰り返し述べています。彼は「こども風土記」や「小さき者の声」などで、「子どもの遊びには大人の世界の模倣が見られ、そこに過去の文化の記憶が潜んでいる」と指摘しました。

  言語能力は幼児期は発達途中のため、大人の世界を完全に模倣することはできません。一方で動作は、子どもでも「手を振る」、「しゃがむ」ことができるように、動作であれば、子どもであっても、大人の世界をある程度模倣することができます。

 その証拠といってはなんですが「かごめかごめ」の歌詞は地域によって、さまざまな歌詞があるようですが、「中央に「何者か」が座し、その周囲が円環をなす」動作は全国共通のようです。

 「かごめかごめ」の「中央に「何者か」が座し、その周囲が円環をなす」行事はきっと当時の大人の世界に実際に存在したのでしょう。(しかも全国的に)この行事が何かを考えると面白いかもしれません。

 

 

2025年07月13日